Thursday, April 27, 2006

話題の対象とは

先日仕事を終えて帰途に着くときのDART(ダブリンの近郊列車)でのこと。ひできすは席に座って日本語の本を読んでおりました。

電車がGrand Canal Dockに着くと人がどどっと乗ってきました。僕の近くには短期留学しているらしいドイツ人の高校生と思われる女の子たちが5、6人立ちました。僕は本に没頭していて始めは気がつきませんでしたが、どうもこの女の子たちドイツ語で僕のことを話題にしているらしいのです。

「ふっふっふ、君たちまさかと思うだろうが僕はドイツ語が少しは聞き取れるのだぞ。変な事言ったら承知しないぞ」などと心の中で思っていると聞こえてきたのはなんともかわいらしい会話でした。以下はたぶんですがこんな様なことを言っていたであろう彼女らの会話です。

「ちょっと見て見てあの人の読んでいる本」

「うわーめずらし。どーやったらあんなもん読めるのかな?」

「どっち向きに読んでるのかな?」

「あっ、めくった!やっぱ反対向きに読んでるー」

という感じでキャーキャーやっている。ひできすはあんまり可笑しかったので読むのを中断してその子らにニコッと微笑むと

「やべっ、ばれた」と思ったかどうか知らないが、気まずそうに目をそらした。そのしぐさがまた可笑しくって、僕はその後もにやけていたので他の人はあぶない人だと思ったかもしれないな。


考えてみると、ひできすやSnigelはDublinに住んで長いから慣れてしまっているとはいえ、人にはまず聞かれる心配のない日本語で会話するというのは、心地よいものだと思います。ひそひそ話をしなくてすむのだから。

しかし慣れとは恐ろしいものです。日本に帰省したときでもついつい大声でまずいことを口走りそうになり(あるいは口走ってしまい)冷や汗をかくことがしょっちゅうありますから。



ところでここからはお願いのお知らせです。

--お願い--

ひできすを個人的に知る皆さんへ。事情がありこの先の日記では僕の職場はもちろんのこと、職種も秘密とさせていただきます。これらを匂わせるようなコメントはNGとしますのでどうかよろしくお願いします。
これはひできすが、やばい仕事をしているということではなく職業が公に出ると自分はもとより、同僚や不特定多数の人たちにも影響が出るからです。ひできすと言う名を伏せて、新しい日記サイトを公開するか、日記を続投にして職業を伏せるか悩みましたが、結局はこのページを続投することにしました。
どうかご理解のほどよろしくお願いします。


Tuesday, April 25, 2006

さらに盛り上がっているらしい

ひできすはいまだにPP&Mで盛り上がっておりますが、そのホリデーは思いどうり2週間取れるかどうかが怪しくなってきました。

それもこれも、ひできすにはまたしても大ニュースが別府の温泉のように湧き出てきたからなんですが、その話は大人の事情により来週に引っ張らせていただきます。

さて5月1日はメーデーで、ヨーロッパのほとんどの国は僕の知る限りでは祝日。このくそ混んでいる時期にロンドンの航空会社勤務の古い知人がなんとスタンバイ(空席待ち)で飛んでくるというのです。

僕が航空会社に勤めていた頃はこのピークシーズンは必ず避けておりました。そもそも安いといっても空いてないと飛べないチケットで何しろ空いてないピークシーズンに飛ぼうとするなんてまさに愚の骨頂なのです。

しかしまあロンドンとダブリンの間はそれこそ毎時間飛行機が飛んでいるので可能性はあるでしょう。

この知人、かつて僕と同じ家に住み、ひできすとは別の航空会社に勤めておりました。酔っ払うと手のつけられない人(女性)で、酔うとまた果てしなくおもしろく、しかも普段だいたい酔っているという強烈な人でしたが、なにかどうしようもなく憎めない人なのでした。

古い仲のよかった知人と言うのは幼馴染というものが存在しない僕にとって貴重な存在です。というわけで、6月のコンサートに加えてさらに楽しみが増えたひできすなのでした。

ダブリンは今信じられないような好天気に恵まれており、願ったりかなったりであります。


Wednesday, April 19, 2006

盛り上がっております

わーい。買っちゃったー、買っちゃったー!

いったいこいつ(自分のこと)は何を盛り上がっているんでしょうか?


実は今さっき、とあるコンサートのチケットを購入したのです。PP&Mという、60年代にアメリカで活躍した3人組のフォークグループで、僕が昔ギターを手に入れるきっかけになった人たちです。


このグループのコンサートは実は1年以上前に見に行く予定でした。しかしグループの1人が入院して、ツアーは中止。

PPMのこのMに当たる人はMaryという人で、グループの紅一点。この人がなんと白血病で倒れてしまったのです。そうでなくとももう3人ともいい年のご老人。もうコンサートは無理と思われました。

もう見れないとわかると、なおさらのこと悔しくなり、

ああ、何でもっと早く見ておかなかったのだろう

と、あきらめきれないひできすだったのです。


ところが驚いたことにMaryは病気を克服し、さらに驚いたことにグループはこの春ツアーを再開したのです。

この人たちの歌に対する情熱は凄まじいです。


もうこれは神様が与えてくれた最後のチャンスだと思いました。PPMはもうアメリカ国内以外では歌うことはないと思います。それならアメリカだろうが火星だろうが行ってやろうじゃないか。

The Cruel WarやBlowin’ In The Windが歌われたら、ひできすはきっと泣いてしまうでしょう。もうこれは一生もんの経験になるはずです。皆さん、中止にならないように祈っていてくださいね。

というわけなので、ひできすはこんなに盛り上がっているのでした。気持ち、わかってくれます?


Wednesday, April 12, 2006

今日は遠足の日

今日会社の集まりで近くのホテルに行った。1時間ほどのスピーチのあとはフリーフード、フリードリンク。調子に乗って高そうな酒を結構飲んだ。こんなことを年に4回も繰り返すそうだ。

仕事は3時で切り上げ、その後は電話が鳴ろうがメールが来ようが完全に無視。社員400人が全て参加のこのコンファレンスは会社から歩いても15分くらいでいけるところに観光バス2台をチャーターしてピストン輸送。

ちょっとした遠足の気分でした。まあ、職場の雰囲気がちょっと暗いのでこういうイベントは丁度いいかもしれないね。

それはともかく、何なんでしょうかこの違いは。航空会社時代では考えられない金の無駄遣い。業界が潤っているというのはこういうことなのかと見せ付けられる思いでした。

しかしとあえてひできすは言う。以前の職場で自分は不幸せだったかと言うと、それは違う。社員の努力を認めるのは何も金をばら撒くことだけではないのだと。

貧乏な業界からうはうはの業界への転職に殺伐とした戸惑いを隠せないひできすでした。


きのうからダブリンは少し暖かくなりました。日中で10度を越えるようになった上、夏時間になったので日没が遅くなり、これで天気が良くなってきたら大分鬱な気分も晴れてくるでしょう。


Sunday, April 09, 2006

電脳的桜前線

ここダブリンで友人に良く聞かれること

What do you miss about Japan?

「祖国に郷愁を感じることってどんなこと?」

そう聞かれるとまあ普段は

「家族、日本食、そして温泉」

と、答えます。


さて日本は桜の季節、場所によってはもう終わっているでしょう。叔父からのメールにこうありました。「この時期は日本人であることを幸せに思う」と。

なるほど。僕はこれに加えて「そして、この時期日本にいることは幸せ」だろうと思った。

言われてみると、桜の時期に日本にいたのは6年以上前のこと。素直に「いいなあ」と、うらやましく思います。なんたって、ダブリンは例年以上に寒くて、夜はいまだに氷点下。桜どころの話じゃありません。

今度友人に同じ事を聞かれたら、「桜まつり」と「夏の花火大会」を付け加えたいと思います。


Monday, April 03, 2006

春なのに...ひできすはちょいとブルー

四月です。もうすっかり春...のはずなのに、アイルランドは寒いです。今日なんか朝1℃しかありませんでした。ああ、暖房費高いのに。

さてひできすは、このたび転職をしました。これまで6年にわたる航空会社暦に終止符を打ち、新しい会社は金融系です。

航空業界はやりがいがありましたが、何せ金がない。前いたところはインドとポーランドへ行ってしまいました。僕がインドへ出張していたのはこういういきさつがあったからでした。他の航空会社も当たってみましたが、求人がないかあっても異常に給料が安いで取り合えずはあきらめました。

そこで今の仕事です。何せ金融系は金がある。始めた仕事は今のところ飽きるほど簡単なのに、給料は前よりも上がりました。そしてこれが初任給、つまり何もえらそうなタイトルがついていない状態。これから給料は上がるは、ボーナスがでるはで、今まででは考えられない待遇に、少々ひできすは戸惑っているくらいです。

しかしここでオチはあります。始まって間もないのに、この仕事は長続きしないかもしれない予感がするのです。

なんなのか?今までに比べて仕事が単調になったせいか?今までスーパーバイザーまでやったのに突然新人になったからか?単に変化に対応できていないのか。

信じる信じないは別として、ひできすは性格が温厚で頑張り屋です。ビザが必要だった頃を思えばどんな仕事も出来そうに思います。そんな自分がこうした重たい気分に陥ったのはひとつには、ビザが必要なくなって少しばかりこのアイルランドで自我の確立がなされてきたことかも知れません。ロボットのように単調に仕事をするより頑張れば認められる職場がいいに決まっています。

もうひとつは売っているものの魅力の差です。旅行関係はビジネストリップを除いて夢を売る仕事。世界を想像しながらの仕事はその他のいやなことを差し引いても魅力があります。金融には、少なくとも僕にはこの種の魅力が見えません。

心の底でもうひとりのひできすが、「おめい、ずいぶんと贅沢なことをぬかすようになったじゃねえか」と言っているのが聞こえるようです。だから、今のところはこの気持ちを転職の反動と割り切り、少なくとも一年くらいは頑張ってみようかと思っています(将来業界出戻りも考慮していますが)。

P.S.
過去、旅行関係で転職したのは全て自分ではなく、会社が逃げて言ってしまったからです。友人の中には、航空会社出戻りはやめたほうがいいという人も多いのも事実。うーむ。