Saturday, June 24, 2006

地球は丸い-アメリカ周り日本行き3

さて、ひできすがとったルートですがまず地球を上(北極)から見てみましょう。


見えますか、オゾンホールが? そうじゃない。青いルートが普通の神経をした人のルートで、赤いのが僕が飛んだルートです。こうしてみると、ひできすが如何に馬鹿なことをしているかわかるというものです。距離にするとシベリア経由のおよそ2倍。


さてひできすはなぜビジネスクラスに座っているのでしょう。ほとんどの航空会社の職員というのは、何かしらの特別待遇というものがあり、席が空いている限りかなりの安値で飛ぶことが出来ます(空席待ちだから航空会社は損はしませんよね)。

ところが世界中の航空会社の中でもアメリカ系の航空会社は一般にこの社員待遇が他の会社に比べて良いのです。僕のいたところは社員は空席があるならファーストクラスから順に社員を乗せていくのです。以前いたヨーロッパ系の航空会社ではファーストどころかビジネスクラスさえご法度、お客さん優先なんだから社員はエコノミーに決まってる。

一理あります。しかし、当日ドタキャンするのは大体高い料金(変更料が無料)を払っているお客さんなので、おのずといい席が空席になります。エコノミークラスのお客さんをビジネスにアップグレードすると値段の差は長距離線では数千ユーロ。オーバーブックなどのしょうがない場合以外はアップグレードすると、ビジネスクラスにお金を払って座っている人がいやがります。ここに社員を座らせるのです。

その代わり社員には休暇中でもドレスコードがあります。Gパンなどでは乗ってはいけません。ともあれユナイテッド航空はファーストクラスはベッドなので長距離を乗る僕にはうれしい。まあ実際問題、アイルランドでは航空会社の職員は安月給というのが一般的で、これくらいの特別待遇がなければやってられません。


この日のUA845便は、ファーストとエコノミーが満席、ビジネスが1席空席で、乗れたひできすはかなりラッキーといえる。機内の様子については後日にゆずるとして本日の旅程は次のようになります。

フランクフルト発08:25 - 飛行時間9時間2分 - シカゴ着10:27

乗り継ぎ待ち時間2時間32分

シカゴ発12:59 - 飛行時間13時間16分 - 東京着16:15(翌日)


アメリカという国は乗り継ぎの場合(つまり米国に用がない)でも、入国-出国の手順を踏まなければいけない。しかも9・11以後厳しくなった入国審査では、毎回指紋と写真を撮られ時間も余計にかかる(そういえば何故か今回は写真だけはとられなかったな)。しかもこのシカゴ・オヘア空港とは、何故か相性が悪い。今回も割りとスムーズに行くと思われた入国審査の列が、僕の10人ほど前でストップ。米国民用の列が混んでいるので一時的にVisitorの列をとめて米国人を先にいかせてしまい、その間待つこと30分以上。

こういうことがあるので、ひできすは帰省のときはいつも荷物を機内持ち込み制限ぎりぎりの量にとどめ、荷物をチェックインしません(アメリカ乗換えは荷物も最チェックインしなければいけない)。

さて、シカゴ到着後やっと入国審査が終了し、出発ターミナルへ向かう。シカゴは国際線到着ターミナルは各社共通だが、出発は航空会社ごとにターミナルが違う。世界1位の発着量を誇るシカゴ・オヘア空港は4ターミナル、8コンコースに別れており、僕の乗る東京行きのUA883はターミナル1のコンコースCから出るので、無料のモノレールに乗って移動する。ターミナル1に着き外で煙草を一服。数分後には出発ゲートへとまあ息つく暇もない。

このオヘア空港はユナイテッド航空の本部で、世界中の社員が使える設備があったりして面白いのですが、日記がすでにだらだらになってきたので割愛(ごめんね)。


実はダブリン出発前の調査では、この日本行きの飛行機がかなり混んでたのであまり過大な期待はしてなかった。はたしてひできすがもらった搭乗券にはエコノミークラスと書いてあった。

ただし救いだったのはこの席はエコノミープラスだったこと。これはエコノミークラスの前方のブロックにあるシートピッチを広げたいわゆるプレミアムシートのことで、シルバー/ゴールド会員や高めのチケットを買った人に優先権がある。エコノミープラスのシートピッチは通常より約8cm広いので、ほんの少しは楽かな。


…13時間後。

飛行機がファイナルアプローチに入る。いやあ、長かった。エコノミークラスだったとき用の腰当てクッション(デンマーク製の特別なもの-ひできすは腰に不安があるので)と、アロマ付き首用クッションで無理やり眠ってきました。とにかく眼下に見えるあれは、日本国の成田空港にまぎれもない。そうです、地球は丸かったのです。フランクフルトで見かけた日本人たちの乗る飛行機とまるっきり反対方向へゆく飛行機に乗り込んだひできすは、それでもこうやって懐かしい故郷の地を踏むことが出来たのです。


日本線は旧塗装のB777でした。ユナイテッドの旧塗装と新塗装、世間では旧塗装のほうがいいと言う人が多いようですが、僕は新塗装は悪くないと思います。皆さんはどうですか?


Snigel顔負けのくそ長い日記になってしまいました。読みにくかったらごめんなさい。次回その4は・・・短かった日本での滞在記。もしかしたら帰りの飛行機にもう乗ってしまうかもしれません。


Tuesday, June 20, 2006

地球は丸い-アメリカ周り日本行き2

フランクフルト、宿の近所にて


スマートのスマートな駐車の仕方。広告のまんま。


それはさておき翌日です。5:30に起きて、空港に向かいます。歩いて1分で中央駅。まーなんて便利なんでしょ。


フランクフルト国際空港。当たり前だけど、ハーン空港よりは1億倍くらいでかい。

早く着きすぎたので空港カウンターに勤務している友人としばらくだべった(仕事の邪魔をした)後、ゲートへ。

喫煙者にきついヨーロッパの中でもこのフランクフルト空港は例外的で、喫煙所がいたるところにある。しかも成田のようにガラス張りの檻の中ではなく、強力な吸煙機の前に立って喫煙するスタイルなので、ゲートの近くの喫煙所にいれば搭乗が始まってもすぐに状況がわかる。

この日、アメリカ方面の集中するBゲートは結構混んでいる。空席待ちのひできすはもちろん全員の搭乗が終わるまで待たされる。相変わらず肩身が狭い。そう、出発間近になってもうろうろしてるのは大体航空会社の職員が空席待ちをしているケースなのです。

僕の乗るユナイテッド航空(そう、ひできすの古巣の航空会社とは、かのユナイテッド航空なのでした)UA945便のゲートはルフトハンザ航空の職員がハンドリングしている。

もうそろそろかな?と思った頃そのルフトハンザ・ピープルの一人が

「ひできすさぁぁぁん」

と呼ぶでわないか。

ところがこのルフトハンザ職員、搭乗券をくれるかと思いきや、何故か空港職員用の緊急用携帯電話を僕に手渡すではないですか。「こは、如何に?」と電話をとってみる。

「(英語で)もちもちぃ?」

さっさと乗り込んでまったりしたいひできすは言葉に覇気がない。

「あ、ひできす?ひさしぶり。あたしフランチェスカ(仮名)」

お?一瞬考えた末、ああ、元同僚でロンドンに転勤になった女の子を思い出す。

「あれまあ、おひさしぶり。君、ロンドンじゃなかったっけ?」

ドイツ語の出来る彼女は、どうやらさらにフランクフルトに送られたらしい。

「乗客名簿を見てたらあなたの名前があるじゃない。もうあたしびっくりしちゃった。ダブリンにいた頃は色々お世話になったわ。」

はあ、そうだっけか?そういえば、その子のいた新入社員グループのトレーニングを受け持ったことがあったような、なかったような。毎週のようにあったトレーニングのクラスなんぞ、いちいち覚えてられない。

「それはそうとひできす、あなたのフライトはもう全員搭乗して残ってるのはビジネスクラスに1席だけよ。乗れたらいいわね」

うげっ、そんなに混んでるの?平日だからすいてると思っていたのに。社員空席待ちの場合、先に呼ばれるのは勤続年数の長い人順。ゲートの前で所在無げにぼーっとしているのは、僕を含めて数人。1席しかないと聞いてひできすの目は何故か攻撃的にその数人を観察している。

「ひできすさーん」

やった。ゲート前で人目を気にせずガッツポーズのひできす。最後の1席をゲットしたのはこの私だったのです。

「ふう」

かけてもいいけど世界中の空港でガッツポーズする航空会社職員は結構いると思う。はい皆さん、次回から空港に行ったらよーく観察してみましょうね。

ゆったりしたビジネスクラスのシートに体をうずめて、出発前のウエルカムドリンクはもちろんシャンペンをたのんだひできすは、この先の長い長い旅程を思い目を閉じる。


新塗装のユナイテッド航空ボーイング777は定刻にフランクフルトをプッシュバック(機体がゲートを離れること)した。


今回の旅行記は、ひできすが航空会社を退職したこともあり、いままで出さなかった航空会社の裏ネタ満載です。続きをお楽しみに。


Tuesday, June 13, 2006

地球は丸い-アメリカ周り日本行き1

いやあ、ご無沙汰してました。5月の終わりのとある早朝、気温は2度。ダブリン空港に降り立ったひできすの服装といったら、冬そのもの。今年最後になる大型ホリデーをつかって、日本行きを決行しました。航空会社勤務をしていた(最近転職した)ひできすに残っていた最後の業界特典の無料航空券、難点を言えばいつもアメリカ経由でシベリア経由の倍の時間がかかることでしたが、これが最後と思うとそれも苦になりませんでした。

ともあれ、今回はそれにいくつかのおまけ旅程があり、最初の目的地はドイツはフランクフルト。ここに1泊して友人を訪ねるのが目的。しかし、僕の古巣の航空会社はこの区間を飛んでないのでここは普通の航空券を購入しなければなりません。

出発の約1ヶ月前に話は飛びますが、なぜかこの出発日で激安のチケットは見つかりませんでした。検討の結果、ライアンエアのフランクフルト・ハーン線が一番安いので購入。しかたなくですよ、しかたなく。僕は全うにエアリンガスかなんかでフランクフルト国際空港に飛びたかったけど、ほんと、何故か高かったんですよね。

このフランクフルト・ハーンという空港が曲者で、空港からフランクフルトの町までバスで2時間以上かかる。


到着してみるとなんだか、何にもない。空港にもアエロフロート・ロシア航空の巨大な貨物便が止まっているだけという、怪しげな様相。バスに乗って出発を待っていると、ここがフランクフルト国際空港だと思っていたというかわいそうなおばあちゃんがバスの運ちゃんに愚痴を言っている。もちろん運ちゃんのせいじゃあありません。

運ちゃん「ほうら見てごらん。ここは何にもない、とんでもない田舎なんだよ」

...いや、なにも念を押さなくても。

止まった宿はまさに中央駅の目の前。どれくらい目の前かと言うと


こんくらい目の前。めっちゃ便利。

しっかし、写真を見てもらえばわかるように、いやしくもフランクフルト中央駅の正面玄関でさえこれですよ。ここがサッカー、ワールドカップの開催地だなんて夢にも思えないでしょう(駅前の看板はサッカーと無関係)。Snigelの日記にもあったとおり、これほどまで盛り上がっていないのです。今回の旅行記の後半に出てくるニューヨーク、サッカーがそれほど盛り上がっていないアメリカでさえこれくらいやってる。


というわけで、ずいぶんがっかりしてしまいました。しかしまあ、友人と入った地元のレストランで食べたコロッケ定食はすんごくおいしかったのでゆるしてあげます。

次回、気の遠くなるような長距離飛行へ。